Persefone / Metanoia

ここ 10 年ほどはプログレデスメタルのいくつかのバンドをプログレとして聞いているのですが、そのうちのひとつ Persefone が帰ってきました。

2 曲ほどが事前にリリースされていて、期待が高まってました。この 2 曲は Persefone らしいギミックの効いた曲で、いかにも Persefone という感じです。この 2 曲はよりメタル寄りで、ドラマチックさがあり、デスヴォイスとクリーンなヴォイスの対比も堪能できる良曲です。もちろんシンフォニックさもあってスケール感もあります。

ただ、このアルバムの魅力はこれだけではない!(当たり前)その他の曲ではインストパートがメインとも思える曲もあって、すばらしいです。

まずは 5 曲目の “Aware of Being Watched”(Feat. Merethe Soltvedt)、Merethe Soltvedt は特にメタル系の方ではないようですね。

この曲の「静」と「動」と「激」という感じで変化するダイナミックな曲ですね。ギミックに富んだテクニカルかつ叙情的なギタープレイが堪能できます。

そして、前作からの流れを組むのか “Part.3” と付いた 10 分を超える大作の “Consciousness, Pt.3″。キーボードによるシンフォニックサウンドが印象的です。この曲はインスト曲と言ってもいいでしょう(ヴォイスという感じでボーカルも入りますが)。この曲も「静」から始まって徐々にドラマチックに盛り上がっていき、「静」と「動」の変化が展開します。「動」の部分も激しいとまではいかない重厚なサウンドが緩急、強弱をつけながら続きます。

「プログレ」なサウンドではないのかもしれないけど、メタリックな解釈でプログレするとこうなりました的なプログレに仕上がってますね。この曲はすばらしい。

そしてアルバムの最後は組曲(?) “Anabasis”、Pt.1~3 で構成される、こちらもインストパートを十分に生かしながら、クリーン・デスヴォイス、静と動と激と目まぐるしく変化する、まさしくプログレデスメタルと言える曲ですね。

というわけで、アルバム 1 枚中でのプログレらしい構成も、1 曲の中でのプログレらしい展開も楽しめる良作です。ドラマチックで重厚感あるサウンドも私好み。しばらくヘビロテしそうです。

さらに詳しい情報は「ヘビーメタル.com」さんに詳しいです。

Trigon / Free Gone

モルドバのバンドの 2000 年作。ジャズとして紹介されていることが多そうです。

ジャケットに“Art Jazz-folk Trio”とあるロシアのヴィオラ、ベース、パーカッションによるバカテクジャズトリオ。ヴィオラはクラシック畑の人らしいです。

Art Jazz-folk という言葉がぴったりな音楽で、本人達は「ジャズ、フォーク、シンフォニック、ロックの要素をたしたような音楽」と言っているようです。アコースティックな楽器を中心に(というかアルバムはアコースティックな楽器のみ?)、驚くほど(一つまたは複数の)楽器をよく操り、非常に多彩な音を出しています。一つの楽器からも驚くほど色々な音色が飛び出して、とても 3 人から出てくる音とは思えないほどの迫力です。

音楽的にはアヴァンギャルドな香りのするオリエンタルなエキゾチックさを持つジャズという感じでしょうか。フリーな雰囲気もあります。非常にカラフルで先の読めない音楽という感じでとても楽しめます。

(2000年に書いたレビューに加筆)

Rousseau / At the Cinema

ドイツのシンフォニックロックグループ。Camel フォロワーとして知られています。1978 年結成らしい。

1987年の再結成後 14 年振りの 4th。ほわーっとした感じのエッジの取れた感じの心休まる曲が特徴的です。再結成前よりは、シンプルでブルージーなロックに寄った感じはします。

この手の音楽は曲自体はプログレとは言えなくて、どちらかというと曲の構成などによってプログレにカテゴライズされる事が多いような気がします。このアルバムに関しても同様で曲によってはプログレかどうか怪しい曲もありますが、壮大なスケール感のあるギターソロなんかを聴いていると、やっぱりプログレだなと感じさせてくれます。

(2003年に書いたレビューに加筆)

black midi / Cavalcade

このバンドを知ったのは King Crimson 文脈経由なんですが、あまり知らないので検索してみると、ロックバンドとして紹介されていることが多いですね。有名なバンドなんですね。

色々なジャンルが混沌としてる感があるので人によって何のジャンルなのか、そこにどのような音を見出すのかが違う気がします。

私の場合はクリムゾン経由で知ったわけで、やはりクリムゾンの影響を意識はしてしまいます。クリムゾンとレコメンをメインに、さまざまなジャンルの音楽をよくかき混ぜた感じとか思ってしまいますね。ボーカルのある種朗読をしてるような感じなのが、また独特なスパイスを利かせているような気がします。

アルバムの曲ごとに結構違う要素が感じられたりするので、1曲だけを聞いて判断するよりは色々聴くと面白いかもしれませんね。

King Crimson Music Is Our Friend Japan 2021 @ Festival Hall

(2021-12-05 少し更新)

King Crimson、来日公演の予定があるというのはもちろん知っていたのですが、昨今の状況を見ると今年は無理じゃない?と思ってチケットは買ってませんでした。そんなときに、このブログにもコメントをくださってる ANGIE さんから、Crimson のチケットを買ったお話と、メンバーは来日してホテルで隔離生活を送っていることをお聞きして、早速チケットを確保し、行ってきました。

リアルコンサートは 2020 年 2 月末の Korpiklaani 以来!(このライブ会場で大阪のライブハウスでのクラスター発生のニュースを見たのでした…)

というわけで、フェスティバルホールの 2 日目、席は S 席で 1F の 25 列目の隅の方でした。特にかぶりつきで見たいわけではなく、その場にいて音が聴ければ良いので満足です。そんなに遠くなかったです。特に席を 1 つごとに空けるとかもなく、普通に人が入ってました。所々空席はあるものの。

セットリストは色々なとこにあるのでそちらをどうぞ。

事前のインタビュー何かを見ると、セットリストはレパートリーの中から当日の朝ロバートフリップが発表するとかで、メンバーも当日までわからない、そして毎日違うということだったようですね。私はクリムゾンはそんなに詳しくない素人なんですが、そんな私でもわかるヒット曲(?)が連続するセットリストで良かったです。

そしてトリプルドラム。前回は特に何か感じた覚えがないのですが(単に忘れてるだけのような)、今回はこれが一番コンサートを引っ張ってた感!1 部、2 部ともにドラムソロな曲(ソロじゃないか)から始まるところから構成的にもそれが狙い?

これは 1 部最後の 21 世紀で最高潮を迎えます?21世紀ってこんなにドラムがグイグイ引っ張っていく曲だっけ?と思うくらい新鮮でした。パワフルでうねるようなドラム、それが 3 つ重なるわけですから、強大なうねりとなって襲ってきます。そのドラムがグイグイ曲を引っ張って、そして重厚なサウンドを作り出す。それでいて繊細。この曲が終わったところで客席も(声は出さないままですが)最絶頂。終わった瞬間にスタンディングオベーション。

このトリプルドラム、完全にお互いの信頼関係、役割分担が完璧で、違う音を出す時はお互いにどのタイミングでどの音を出すのかがわかってるようですし、同じ音を出す際も完全なユニゾンではなく、微妙な差があって、それが強大なうねりとなって迫ってくるんだと思います。本当にすごい。

2 部もこの流れはそのままに名曲が続けて演奏されていきます。パワフルなうねりのあるドラムもそのまま。それに引っ張られるように全体がグーッと盛り上がっていきました。そしてあの透き通るようでいながら声量があって重厚なボーカル!

この迫力はやはり生で演奏を聴くならではですねえ。あのトリプルドラムの迫力は映像で見てもわからないと思う。

アンコールの Starless が終わってこの日 3 度目のスタンディングオベーションの嵐に続いて、最後はお約束のトニー・レヴィンさんがスマホを掲げたところでフォトタイム(笑)。大きな拍手とともにみんながスマホを掲げてステージを撮影して終わったのでした。小さくてよくわからんですが、たぶん、うんうんと満足そうに客席を眺めるロバート・フリップさんの姿を見て、満足のコンサートは終わったのでした。

今回、あと少し日程が遅ければ入国禁止になって開催できてなかっただろうし、そうでなくても開催までにはかなりの困難があったと想像できます。メンバーはもちろんすべての関係者に感謝です。

いやー、改めて生で音を聞くことの迫力の力を思い知らされました。当たり前と思ってたことだけど当たり前じゃない世の中で。

トニーレヴィンのツアーダイアリーにこの日のレポートが上がってます(他の日もあります)。