Omega / Testamentum

書きたいブログエントリがたまってますがまずはこれから。ハンガリーの Omega の 2020 年作。17作目らしいです。

ハンガリーといえば個人的には真っ先に After Crying と Solaris が思い浮かびます。After Crying は室内管弦楽的なシンフォ、Solaris は東欧らしいカチッとしたシンセ+泣きのギターのガチッと型にはまった感の強い緻密なシンフォという感じですが、Omega は後者の雰囲気でしょう。

実は私は Omega を聴いたことはなかったのです(名前はもちろん知ってました)。1962 年結成(!)の国民的ロックグループのようです。時代によっても曲調は違うようですが、このアルバムでも曲によって結構雰囲気が違う気がします。

ただ、基本はカチッと緻密な東欧らしいシンセ、それも 80 年代の東欧の雰囲気が残るアナログシンセ的なサウンドに、それとは対象的に思える人間味あふれるコテコテの泣きのギターが特徴です。ボーカルも短波ラジオの電波に乗って東欧からやってきたような妙な距離感があります(なんのこっちゃw)。

キタキタ 1980 年の東欧サウンド!時代は戻ってほしくはないけど、サウンドは戻っても OK!!

ギターだけ聴いてるとどっしりとしたブルージーなハードロックという感じで、ボーカルは共産時代東欧にありがちな、西側ロックへの憧れを持ちつつもアーティスティックに仕上げないといけない東欧の時代背景を感じるような(実際は知りません。あくまでイメージですw)ポップに接近しながらも、カチッと真面目に歌い上げる雰囲気が独特の雰囲気でこれがまたたまりません。

アルバムは序盤は結構プログレな感じの壮大な感じがする曲で幕をあけますが、途中は結構コンパクトなロックに仕上がってたりと、結構飽きずに最後まで聴き通せる感じはします。

このコッテリとしたギターとカチッとしたシンセ、アートと娯楽の間をすり抜けるようなボーカルをたっぷり堪能してください。このサウンドが 2020 年に出てきたのがすごい!

Solaris / Nostradamus 2.0 – Returnity

1999 年リリースの “Nostradamus – Book Of Prophecies” の続編とのこと。

少しゆったりしたリズムでカチッとした東欧らしい演奏という Solaris らしさ満点。聴いているだけで「うぉー、Solaris や〜」とうれしくてニヤニヤしてしまう感じです。カチッとした演奏ながらもエモーショナルなギター、20 世紀っぽいシンセ、これぞ Solaris という叙情的なフルートも健在です。

どこかで聴いたようなメロディと思うのは続編だからでしょうか、同じメロディが使われている?

Török Ádám & Mini / A Szél Nomádja (Nomad of the Winds)

ハンガリーのフルート奏者の率いるフュージョンバンド。

全体的に軽快で流れるようなフルート中心のフュージョン。軽快とは言っても、東欧らしく少し陰がある感じはします。ちょっと BGM 的過ぎる所はありますが、少し叙情的シンフォ色も感じさせながらなかなかスリリングに展開していきます。

まだ活動中のようで、YouTube で検索するとたくさん動画が出てきますね。(↓は 2003 年のライブのようです)

Townscream / Nagyvárosi Ikonok

After Crying を抜けたキーボーディスト Vedres Csaba が結成したグループです。1997年作。アルバムはこれ一枚かな?

After Crying と同様、現代における本当の意味のプログレッシブ・ミュージックとも言える音楽です。After Crying よりはコンパクトにかちっとまとまった感じの音楽です。美しいクラシカルなピアノと重く悲しい雰囲気が特徴的で、叙情的なハンガリー語のボーカルがその重く悲しい雰囲気をより強調しています。ボーカルがその雰囲気にはピッタリ (ちょっとヘタウマ風ですがw)。この雰囲気に生の管と弦が加わり、コンパクトながら音に厚みも感じられます。曲調も結構目まぐるしく変わり、静と動の間を行ったり来たりしている感じで、聴いていてだれる所はありません。常に緊張感漂う感じですね。

King Crimson のアイランドの 1 曲目のカバーも入っています。

(昔書いたレビューに加筆、修正)

Solaris / Noab

Solaris のアーカイヴ集の第二弾、”Marsbéli krónikák” 以前のライブの音源集とのこと。

時おり聞き覚えのあるメロディやフレーズが飛び出すので,その後の曲のアイデアだったのでしょう.演奏は Live in L.A. などのように完璧とまではいかないけど、かなりの完成度です。

曲自体は十分に練られていないような雰囲気もありますが,フルート中心のまさしく後の Solaris サウンドそのままなので、当時から相当な完成度を持った曲を、かなりのテクニックで演奏していたことが分かります。