Eduardo Moreno / Disorder / Inner Odyssey

1990 年代に 2 枚のアルバムを出していたスペインのマルチミュージシャンの 2023 年作。その 2 枚は電子音楽色が強いアルバムだったらしいです。しかし、このアルバムは違います。

ジャケ絵を見るとわかるように、クリムゾンのオマージュであり、出だしからクリムゾンばりのヘヴィなサウンドが炸裂します。それだけだと、ちょっと個性的にどうかな?と思うわけですが、インスト中心で進行しながら、途中女性ボーカル入りのヘヴィロックになったりします。

そこまでだと「ちょっといい感じ」という感じで済んでいたのですが、アルバム後半の 28 分に渡る組曲 “Inner Odyssey” がとにかくすばらしいです。クリムゾン基調で Yes 風のシンフォロック、コーラスワークが入ったり、ELP 風キーボードワーク、ときには Magma にも聞こえてくる、とにかく色々ミックスされたプログレなカオスが展開されます。

まあ、一度聴いてみてください。特に “Inner Odyssey” は。

Det Skandaløse Orkester / Tenk Om Noen Ser Deg

ノルウェーのアヴァンギャルドなプログレバンドの 2018 年作。

なかなか屈折した感じのサウンドで、ボーカル部分はフランク・ザッパ的なロックオペラかミュージカル的な味わいで Samla Mammas Manna のようにおちゃらけた音楽をやってます。このサウンドはかなり高度なテクニックが土台になっていますね。

実際、ボーカルが入った屈折したおちゃらけ部分から抜けた、楽器ソロ部分になると、テクニカルなジャズ的なノリになります。

YouTube で公開されている動画はザッパの曲なんかもやってますので影響を受けてるのかもしれませんね。

ライブもかなり奇抜な感じ😂

KBB / Four Corner’s Sky

ヴァイオリン入りプログレ KBB の 2003 年作、2nd。ヴァイオリン奏者壷井彰久を中心にしたバンドです。

1st に比べてジャズロック寄りになったという評判を聴いてましたが、確かにそういう感じはします。曲によっては非常にフュージョン寄りの演奏です。ジャズロック的なスリリングさとシンフォ的なドラマチックな 味わいが丁度よくバランスされたという感想です。位置づけ的にはジャンリュックポンティ辺りと近いでしょうか(これも曲によりますが)。

変拍子ながらも軽快な “Discontinuous Spiral”、ドラマチックな “Kraken’s Brain is Blasting”、スリリングなソロが古き良き時代のジャズロックを彷彿とさせる “Back Side Edge”、静と動という感じのダイナミックな “Slave Nature” はプログレ的展開とフュージョン的展開が良い感じでミックスされています。聴き応えのあるアルバムですよ。

こちらで購入できそうです。

 

(2004年に書いたレビューに加筆)

Arkitekture / Rationalis Impetus

「韓国のAnekdoten」というキャッチフレーズで話題らしい韓国のバンドの 2022 年デビュー作。個人的には Anekdoten というよりは Kotebel 的な雰囲気を感じたりしました。

オールインストで、メロトロンを多用したダークで叙情的な演奏が特徴的です。しかし、このバンドのカラーを出しているのは重厚なベースとキーボードが基礎を支えながら、ヴァイオリンとサックスが前面に出てくるところかと思います。もちろんメロトロンの音色もですが。

このサックス・フルートとヴァイオリンのフロントは 2 人とも女性で、特にアルト、バリトン・サックスとフルートを持ち替えながら印象的な音を出すサキソフォーニストが、印象的な中でも特に印象的です。

このバンドの前身バンドが 2019 年にシルエレに来てたみたいですね。