勝手に選ぶプログレ 50 選の第 3 回はに本を含むアジア,北米,中南米です.なんとか 50 枚に収めましたが,リストアップはして外したヤツも結構あります.
50枚,ベストというよりは自分が今までプログレを聴いてきた中で,その後の聴き方に影響を受けたものを挙げたという感じですが,楽しんでもらえればと思います.
番外編やるかも? 🙂
Rishad Shafi presents Gunesh (Turkmenistan)
Richard Shafi Presents Gunesh Gunesh Boheme 1999-01-01 |
今から 10 年以上前だったかと思いますが,プログレの Mailing List で呼びかけのあったオフに何度か出た事ありました.その時にプログレ現役世代の方が「当時はモスクワ放送とか聴いてよさそうなのがあったらソ連の人と文通してその人に西側ロックのレコードを送る代わりにソ連のロックを送ってもらったりしてたんだよねー.グネッシュとかねー」とか言うお話をされていました.それからほどなく CD が再発され早速買ってのけぞってしまった衝撃の作品ですねー.1st(1980) + 2nd(1984) の 2in1.あの髭もじゃのおじさんからこんな音が! この後もう一枚 CD が出ていましたが,こちらの方がプログレ的ですかねー.超絶技巧オリエンタルジャズロックプログレ!
Discus / 1st (Indonesia)
昨年の NHK-FM のプログレ三昧でかかり盛り上がった Discus の 1st です.内容はインドネシア的プログレから,ジャズロック,フュージョンからポップな曲まで結構バラエティに富んでいて,ライナーにメンバーが影響を受けたアーティストが載ってましたけど,それが分かるような曲が並んでるなという感じでした.インドネシアには結構インスト中心のフュージョン系のバンドからプログレ的なバンドで素晴らしいアルバムがたくさんありますけど,初めて聴いた時の衝撃度からコレを選びました.
高中正義 / 虹伝説 (Japan)
虹伝説~ザ・レインボウ・ゴブリンス | |
高中正義
キティ 1995-05-25 |
なんで高中がプログレ 50 選に入るねん,と言われそうですが,音楽的要素としてプログレがなくても,アルバムの構成,曲の構成でプログレになってるバンドってプログレにもたくさんありますよね? ってわけでウル・デ・リコの絵本「虹伝説」の絵を曲にしたものです.これだけでも充分プログレですが,音は Fusion でも,美しい曲とドラマチックな構成はまさしくプログレの神髄を突くものではないでしょうか.
桜庭統 / Star Ocean & Valkyrie Profile (Japan)
桜庭統 ライブコンサート スターオーシャン&ヴァルキリープロファイル | |
桜庭統
ティームエンタテインメント 2003-10-22 |
もう日本のシンフォの神髄.ドラマチックでスケールの大きな曲は涙なしには聴けません!
Kenso / 2nd (Japan)
『夢の丘』とどちらか迷う,という王道的な悩みを少しして,こちらを選びました.フルートから奏でられるどこか懐かしい日本の原風景,というイメージが湧く所をある意味プログレ的要素としての「日本」というものを含むような気がしてます.2nd というよりも 1st 収録曲辺りに強く感じますが,かと言って 1st は選ぶにはあまりにもマニア向けなので…
Side Steps / Alive (Japan)
Alive Side Steps Musea 2010-02-19 |
このバンドも本人達は Fusion として演奏していて,Fusion 的な曲も多いのですが,Kenso にも通じるような,単なる Fusion では片付けられない曲の数々.その昔,Fusion Mailing List でメンバーの告知で知って,これはすげー,と思ってプログレ界隈で紹介したらあっという間に Musea から CD が出てたのもうなずけます.どのアルバムも素晴らしいのですが,とりあえずデビューのきっかけになった "Inner Space" が含まれたこのアルバムを."Inner Space" は 3 部作で "Triumphal Return(Inner Space III)" もすごくプログレ的な名作ですし,他にもプログレマニアにも勧められる良い曲多数ですので,是非一度聴いてみて下さい.
Echolyn / As the World (USA)
As the World Echolyn Sony 1995-03-07 |
このバンドも 90 年代を代表するバンドの一つだと思いますが,久々に名前を聞いた方も多いのではないでしょうか.21 世紀に入って復活して数枚アルバムを出していますね.2002 年の 50 分にわたる 1 曲のみ収録の "Mei" を選ぼうと思いましたが,1995 年のメジャー (Epic Sony だっけ) から出ていたこのアルバムを.
メジャーなアメリカのプログレというとプログレよりはアメリカンなロックの主張が前面に出るバンドが多いと思うのですが,このバンドはしっかりプログレの要素を含み Yes 等の影響もしっかり見えながら,一聴してアメリカなバンドというのが判る希有な例ではないでしょうか (私の場合 Yes より先にこちらを聴いてるので Yes の影響云々はまあ異論もあるのかな? よくわかりませんが^^;).
Todd Rundgren’s Utopia (USA)
Utopia Todd Rundgren & Utopia Rhino 1987-07-06 |
このアルバムか Todd Rundgren 名義のアルバム "Initiation" のどちらにしようかと思いましたがこちら.アルバムの片面にカットを浅くして強引に 30 分超の曲を収録してた LP レコードでした.Todd Rundgren 風味たっぷりのポップな音楽ながらもしっかりプログレッシブな所がさすが.2nd, 3rd も良いですね.
Mahavishnu Orchestra / Inner Mounting Flame (USA)
Inner Mounting Flame John Mclaughlin Mahavishnu Orchestra Sony 1998-08-20 |
邦題「内に秘めた炎」ですが,全く内に秘めてなくて,壮絶な緊張感から出てくる強烈な圧力の音にただただ圧倒される音楽です.第一期最後の "Between Nothingness & Eternity" も壮絶ですが,とりあえずこちらの音を一度は浴びるべきでしょう.
Cast / Legacy (Mexico)
Legacy The Cast Musea 2010-02-11 |
1978 年以来活動している今やポンプロック/ネオプログレといえばこんな音だよとさえ言えそうなベテランバンド.聴き始めた頃は B 級ロック感たっぷりという感じだったのですが,いつの間にか演奏もしっかりしてあか抜けた曲になり,新譜が出ても安心しておすすめ出来る安定したバンドとなりました.Genesis の影響とかクローンとか言われる事はあったみたいですが,当然の事ながら Genesis より先に Cast を聴いている私にはピンときません.2011 年も新譜を発表しており,まだまだ現役で徐々に変化しながらも安定した Cast サウンドを奏でています.
このアルバムは 2000 年発表の 11th.現代的なポップでキャッチーでスリリング,メリハリの付いた演奏で,曲の出来もすばらしく,充分にバンドのオリジナリティを確立している納得の名盤.
Sagrado Coração da Terra / Farol da Liberdade (Brazil)
Sagrado Coracao Da Terra (Farol Da Liber) Marcus Viana Sonhos & Sons Brasil 1997-01-12 |
それまで Camel, Focus, Soft Machine 等のまあメジャーと言えるバンドばかり聴いていた私を一気にマイナー辺境プログレへと引きずり込んだブラジルを代表するシンフォニックロックバンドの 3rd.音楽的には 1st, 2nd も好きですが,まあそういうわけでこちらを選んでます.
ブラジルらしい開放的で伸びやかでスケールの大きなシンフォサウンドは,親しみやすくもあり,美しくもあります.Marcus Viana のヴァイオリンは一発で判る個性がありますね.
Recordando o Vale das Maçãs / As Crianças Da Nova Floresta II (Brazil)
りんごジャケで有名なブラジルのバンド.
オリジナルは 1977 年ですが,1992 年に再結成して,おなじくりんごジャケで CD をリリースしています (背表紙タイトルに小さく "II" と付いています ^^;).オリジナルのアルバムから 1 曲を再録,ギターリストのソロアルバムからと未発表曲を収録した編集盤.とは言え,後に出たオリジナル盤も聴きましたが,それよりもこちらの方が良いです.^^;
優しさに溢れた外向的でカラフルな演奏.これぞブラジルのシンフォという感じの音です.
Dogma / Album (Brazil)
Sagrado 出身のギターリスト Fernando CAMPOS 中心のバンドの 1st.Sagrado 同様の伸びやかで爽やかなシンフォニックフュージョンです.Sagrado の Marcus Viana もゲスト参加しています.赤道を超えたほんわりした雰囲気が出ていますね (意味不明).聴いていて気持ちよいですから是非一度お聞きを.22 分を超える曲はドラマチックな名曲.
Pablo "El Enterrador" (Argentin)
パブロ・エル・エンテラドール パブロ・エル・エンテラドール マーキー・インコーポレイティド 2011-11-25 |
透き通るような美しいエレピと泣きのメロディを奏でるギターが 特徴的なアルゼンチンのバンドの 1983 年リリースの名作.ファンタジックな叙情的な音は Camel に並ぶ魅力がありますね.
Bubu / Anabelas (Argentin)
Anabelas Bubu EMI Argentina 2007-09-25 |
先に紹介した優しい開放的な南米プログレとは違い,現代音楽的で強迫的に迫ってくるアヴァンギャルドなプログレバンド Bubu の唯一のアルバム.1978 年作.これも聴いた途端驚愕の南米プログレでした.
Fulano / En El Bunker (Chile)
チリはハイレヴェルなバンドが多いのですが,一番の衝撃作を.超絶技巧に支えられた妖しさ満点のハイスピードアヴァンギャルドジャズロック.それだけでなくレコメン,ファンク,ラテン等様々な音楽が顔を出す変態音楽.女性ボーカルがすごく存在感がありうまいです.ちょっとアクが強くて変態過ぎて気軽に勧められないので,もう少しアクの抜けた後年の作品を勧める事が多いですね.解散前の最後の作品辺りはアクの抜けたジャズロックという感じにはなっていますので.解散後は Media Banda というバンドが後を継いでいますが,こちらも似たような感じで凄いです.