Cast / Originallis

ここしばらくはいつも書いていますが,Cast は本当に安心して新譜を買えるバンドになりました.期待を裏切らないし,ずっと同じというわけではなく,ちょっと変化を付けてくれていますし.毎年のように安定して素晴らしい作品をリリースしてくれるのは感服します.

というわけで,2008 年の Cast の新譜です.2 枚組です.基本的には前作からの流れを汲む作品ですね.1 枚目は従来からの Cast 路線.ポップでキャッチーな,メリハリの付いた開放的な明るいシンフォです.押せ押せで畳み掛けるように迫りくる所なんて,「きたきたー」という感じ.(^_^;) 最初の方で,フルートの入る辺りは少しケルティックな雰囲気も感じました.

2枚目になると,ちょっと雰囲気が変わってきます.もちろんベースは従来からの路線ですが,若干シリアスでトリッキーな感じの部分が顔をのぞかせ,イタリアンシンフォ系のやさしい感じの雰囲気も時折感じます.前作も少しそういう部分あったかな?

Eris Pluvia / Rings of Earthly Light


イタリアのシンフォニックプログレバンドの 91 年の作品.

リコーダーフルートの美しい響きが,さわやかな美しい世界へと思いを馳せさせます. ホッと安心出来るような音で,雲間から光の差し込む楽園という風景が頭に浮かびます.とにかく美しく,清涼感があり,繊細で芸術的な音はまさにイタリアらしいと言えるでしょう.

とにかく叙情的シンフォファンをはじめとして,シンフォ系ファンは必聴です.

(たぶん 1998 年以前に書いたレビューに加筆)

Øresund Space Collective / It’s a All About Delay

It’s All About Delay
It's All About Delay Oresund Space Collective

Transubstans 
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USA/Denmark/Sweden 混成のバンドの 2007 年の作品のようです.ジャケットに "Space Rock" と書いてあるように,Steve Hillage ソロ辺りを彷彿とさせるスペースロックです.テクノ的な要素も強いかな (System 7とか).Gong や Steve Hillage に比べると,浮遊感はそれほどでもなく,シンプルな演奏,という感じがします.たまにちょっとレコメン的なノリもあったりして,軽い感じがユニークでおもしろいですね.

1 枚目に比べると 2 枚目は,軽い感じというよりは,もう少しスケール感が出てきて,よりスペースロックと言う感じがします.2 枚目は 15 分を超える長尺曲ばかりなのですが,1 曲の中で色々な要素を含みながら徐々に盛り上がっていくという感じで,フュージョン的な雰囲気も 1 枚目よりは強い気がして,結構好みだったりします.

2 枚続けて聴くのはちょっとツラい所もありますが,なかなかおもしろいですね.

Höstsonaten / Winterthrough

Finisterre 等で活躍の Fabio Zuffanti のプロジェクトの一つ Höstsonaten の 2008 年作."Spring Song" に続く組曲の一枚のようです.

エモーショナルで繊細な感じのするメルヘンチックなシンフォニックロックという路線は変わってませんが,このアルバムはより繊細な色が濃い気がします.その分,ぐっと迫ってくるような印象が薄くて,聴き終わった後の印象に残りにくいような気がしますが,何度も聴いていると,メリハリもあり,いかにも Höstsonaten という感じです.

イタリアらしい美しい,心温まるシンフォニックロックですね.

Blue Effect / Live

チェコの Blue Effect (Modry Efekt) の 2007 年の再結成ライブを収録したライブ盤 (2008年リリース).

出だし,イントロっぽい曲がシンフォ的にゆったりと始まっていく感じで,プログレ的な展開を期待させますが,始まると,プログレというよりは,ブルージーなロックで初めて聴いたときはガックシ.:-p

いかにもおっさんの再結成の演奏という感じの,余裕の感じられるロックで,プログレとかジャズロック色を期待すると思いっきり外しますけど,なぜか心地よく聴けました.きっと私がおっさんだから,こういう余裕の音楽が気持ちよく自然に入ってくるのかも.(^_^;) 最近,結構この手の再結成物,プログレなんかを期待して,一瞬がっくり来るんですけど,聴いているとすごく気持ちよくて,思わず何度も聴いてしまうんですよね.

曲の端々にジャズロック的だったり,プログレ的な要素を感じる部分もあるので,そういうのも心地よい原因かもしれません.後半の曲は,ボーカルの入っている部分は特に前半と変わりない雰囲気だけど,ソロが始まると,ジャズロック的になったり,プログレ的だったりと,さすが!と思わせる所満載ですね.

演奏も円熟味のある余裕のある演奏で,その中でギターがゴリゴリという雰囲気を残しながらも,それでも丸くなったよな,と感じさせる所が微笑ましいですね.昔の演奏がいかにもゴリ押しのアツい垢抜けないジャズロックだったので,そういう曲を少し引いて余裕を感じさせる演奏をしている所のギャップも楽しいのかも.