フレンチプログレお気に入りアルバム10選

ふとツイッターで流れてきて知ったこのページ。

このサイトたまにマニアックなプログレセレクト記事書いていて面白い (以前イタリアンもやってましたね)。この記事、

大御所の「MAGMA」「Pulser」などが入っていないとツッコミを頂きそうだが、あくまで個人的な私の好みで紹介する

とあるにもかかわらず、はてブで速攻「マグマないからダメ」とかダメ出し食らってて、Magma 方面手厳しい😁

この手のセレクトは書いた人の好みがうかがい知れてなかなか楽しいですね。とは言え、こういうのを読んでしまうとやっぱり黙ってられないのがプログレマニア♪

というわけで選んでみました 10 枚。とは言っても私はリアルタイムで 70 年代聞いていたわけでもなく年代を気にして聞いてませんし、続編書くつもりもないので年代縛りはなしで、前述のページでは選ばれてないやつを選んでみました。

Minimum Vital / “Esprit d’amor”

バンドとしては中世(?)ラテン古楽を指向しているようですが、伸びやかなギターのプレイがフュージョン的な側面もあって、聴き始めた当初はフュージョンシンフォとして聞いていました。が、これはフレンチポップス+古典という感じでプログレ色もあまり感じません。このバンドの色々な側面が一番バランスされているアルバムではないかと思って気に入っており、かなり聞き込みました。これは 1997 年 4th。

よりシンフォフュージョン色がほしければ 1st, 2nd, 3rd あたりがオススメ。

Nemo / “Barbares”

現在のフレンチプログレを代表するバンドではないかと勝手に思っています。現代的なネオプログレという感じで、ある程度のキャッチーさ、ハードロック色、ネオプログレ色をバランスよく持っていて、それでいてスリリングな展開を見せ飽きさせない曲が多いのでかなり好きなバンドです。アルバムによっては(ここ数作)若干縦ノリな感じのハードな作品になってる感じが。これは 2009 年 8th。

Step Ahead / “Step Ahead”

フレンチプログレで10選でなくてもこれを挙げる人はほぼいないのでは? 1982 年の唯一作。フレンチらしい屈折した感じは全くないストレートで開放的な明るいポップなシンフォニック・ロック。ネオプログレと同じ路線を狙ってるんじゃないかと思える聞きやすいが、プログレらしいギミックにも富んだ好作品。

Asia Minor / “Crossing The Line”

このバンドだけは冒頭で紹介したページでも紹介されていたけど好きなので挙げられてなかった方の 2nd を。トルコ系フランス人によるバンド。かっちりしたクールな感じの演奏が特徴的だけど、フルートによる少し叙情的なメロディが印象的。1979 年作。

Halloween / Merlin

メタルバンドと間違えられそうですが、こちらは HAlloweenです。ミステリアスな暗黒なイメージの暗い強迫的なメロディが印象的です。ダークで幻想的な感じ。1994年3rd。

Jean Pascal Boffo / “Carillons”

ギターリストによる作品。1987年2nd。軽快でニューエイジ調で、ジャケットの絵とも一致する童話の世界のような明るいメルヘンチックな音楽。気持ち良い爽快感です。

Jean Luc Ponty / “Mystical Adventures”

これはフレンチなのか、プログレなのか微妙なところですが、曲の構成・展開は間違いなくプログレ。Ponty といえば “Enigmatic Ocean” なのでしょうが、プログレ的な曲としてはこの曲じゃないでしょうか。


Carpe Diem / “En Regardant Passer Le Temps”

今聞くとちょっとチープな感じもするのですが、ちょっと浮遊感のある異次元空間にいるような不思議な雰囲気の感じられる音です。ちょっとサイケな感じもありながら、ジャズ・ロック的なかっちり感もありますね。1975 年 1st。

Zao / “Osiris”

73 年、MAGMA を離脱したヨシコ・セファー、フランシス・カーンによって結成されたジャズ・ロックバンドの 1974 年 2nd。変拍子リフから一体となった疾走感ある音が迫ってくる感じ。妖しいスキャットも入り変な一体感のある妖しい世界へ引き込まれます。

One Shot / “Vendredi 13”

現(?)Magma メンバーによるバンド。とにかく重厚感ある攻撃的で疾走感あふれるジャズ・ロック。ひねりのない攻撃的な疾走感の中に屈折した変な演奏を入れながら突っ走っていく凶暴な暴走的ジャズ・ロック。1st の自主制作ライブ盤が衝撃的だったけど引用できなかったので2ndを(2001年作)。1st はあとにリミックス・リマスターで再発されている模様。


個人的には Gong 入れたかったけど、まああちらはカンタベリ枠とかフュージョン枠で。私が挙げるとフュージョン作品とか挙げそうでそれはそれで石飛んできそうなので。入れようかと名前挙げたけど落としたのは、

  • Jean-Paul Prat / “Masal”
  • Gong / “Gazeuse!”
  • Moving Gelatine Plates / The World Of Genius Hans
  • Priam / …3 distances / irregular signs …
  • Tiemko とか
  • Edhels とか
  • Magma、はみんな文句言ってるからいいよねw

Neuschwanstein / Fine Art

ドイツのシンフォバンドの 38 年ぶりの新作。調べると 2008 年にアルバムを出している模様。なので 8 年ぶり (2017-05-10 更新)。オリジナルキーボーディストによる作品のようだ。

フルート、ヴァイオリンや管弦楽を導入したクラシカルなまさしくザ・シンフォニック・ロックという感じのサウンドです。ギターも加わるとこってり感も加わって、なかなか本格的なクラシカル・シンフォニック・ロックを展開しています。最近なかなかギターがクラシカルなフレーズを奏でるシンフォニック・ロックってないような。

昔の Neuschwanstein って、もっと叙情的で静かな感じの演奏だった気がしますが、今作はメンバーもキーボード以外は変わってるので、それよりはスリリングでドラマチックなシンフォサウンドを演奏しています。

なかなかの秀作じゃないかと思います。

Maxophone / La fabbrica delle nuvole

Maxophone 42 年ぶりの 2nd。

1975 年のアルバムが持つ独特のアクの強さは、イマドキ風だからなのか弱くなり、より洗練された感じになっています。

1 曲目はイタリアンポップっぽいエモーショナルなポップな雰囲気の出だしでそのままいくのかと思ったら途中でギミックの効いた展開になりなかなかのでき。ヴァイオリンも入るし、シンフォプログレ的キーボードの音色も良い雰囲気です。

あとあまり目立たないかもしれないけど 4 曲目のインスト曲がなかなかの良いインストロックに仕上がってます。

じわじわ来る良作のような。洗練のされかたも良い感じにされています。

追悼 Allan Holdsworth

びっくり、Allan Holdsworth の訃報が飛び込んできました。ご冥福をお祈りいたします😢

ついこないだライブで元気な姿見たばかりなのに、と思ったらもう 3 年前ですか。この時はラストツアーということで来日してましたが、まだまだ何度でも来れそうなまったく衰えないプレイでした。

Holdsworth を初めて聴いたのは高校生の時です。ちょうどインギーとか速弾きギターリストが続々登場したりしてたころで、当時ライトハンド奏法で有名だった Edward Van Halen が、ライトハンドのルーツは自分でなく Allan Holdsworth だと言ったとかいう話を、同級生のメタラーが言っていたのがきっかけです。

当時、今では考えられないようなマニアックな品揃えのレンタルレコード店が近所にあったので、早速借りに走ったらありました!(ふつー、こんなのレンタル店にないですよねw) “Road Games” です。たしかセールスのためにヴォーカルを入れたみたいなインタビューを当時読んだ記憶がありますが、それでも難解なメロディにさっぱり理解できない音楽でした。

それでも「こういうのが大人の音楽」というような中二病的な考えで、しばらく聴いていると、耳にすっと入ってくるようになってきました。

このあたりも名曲ですね。

とはいえ、本人作品より、後に聴いた参加作品の方に印象的なプレイが多い気がします。とにかくあのスピードのテクニカルな演奏でありながら官能的であるところが Holdsworth の特徴ではないかと思っています。このあたりを聴いた後にソロに戻ると良さがわかってくる感じ。

この演奏なんてホント名演。パーカッシヴな演奏の上で流麗に流れる Holdsworth のプレイが官能的。

そして Soft Machine の曲も名演。

Bruford。なんでこの曲選ぶねん!?と言われそうですが好きです。

UKも高校時代に聴いたな。プログレ初体験なので、これもある意味慣れるまで少し聴き込みました。

これは知らない人も結構いるんじゃないですかね。結構最近の作品。2005 年のアメリカのネオプログレバンドに参加しています。プログレの演奏としては Holdsworth の中でもベスト上位に入る演奏では? Holdsworth 節全開という感じ。

あの元気さだとまた来日しそうとか思ってましたが、本当にライブ観といて良かった。

Shobaleader One @ Umeda Club Quattro

Squarepusher のピカピカ光る覆面バンド Shobaleader One のライブ行ってきました。

Squarepusher の往年の名曲を超ハイテク人力でやろうというバンドのようですが、あまり昔の Squarepusher の曲は詳しくなく、ここ 2 週間くらいでアルバムを何度も聴いて予習しました。

会場は梅田のクラブクアトロ、スタンディングでほぼ全体が埋まるくらいの盛況ぶりでした。Opening Act のにせんねんもんだいの、ちょっとこれはリリースしてる曲チェックしたいなと思わせるステージのあと、しばらく休憩を挟んで出てきました、黒装束に電光掲示板の覆面をかぶったメンバーが。

思えばこのバンドの存在を知ったのは Apink のライブに神戸に行った時の、ライブ前に寄った Tower Records の試聴機でした (ライブ前に何聴いてるんだかw)。

そこで聴いて、即チケットの手配をするほど衝撃を受けたのですが、予想通りその衝撃なんて軽く吹っ飛ぶほどの衝撃的なライブでした。

とにかくジャズ、フュージョン、ジャズ・ロック、プログレ、テクノ、メタルの超かっこいいライブを同時に聞かされた感じ。もう今年最もかっこよかったライブはこれに決定と言っても良いほどです。

Squarepusher のあらゆるジャンルを横断するようなプレイがかっこ良いのは当然として、ドラムの COMPANY LASER がすごいです。あのドラムンベース的なリズムを正確に叩いているにもかかわらず、プレイにうねりが感じられて、これが機械的なリズムでやってる音楽に重要な面白さ、かっこよさを与えているんだと思います。

このうねりで、70 年代の電化マイルス〜マハヴィシュヌ・オーケストラのようなかっこいい混沌さのある曲を演奏し、それを生の迫力で聴いたのですから、これは衝撃を受けないわけはありません。しばらく余韻が残りそうです。

参考